ECサイトから発信するSDGsとは?注目の理由や事例も紹介
2022年12月26日2015年に国連で採択されて、数年が経過したSDGsですが、最近ではECサイトでも取りざたされるようになりました。
ECサイト事業はSDGsが設定する目標に関連する項目があり、国内外問わず大手事業者はすでに取り組みを進めています。
当記事では、ECサイト事業者がSDGsに取り組むメリットや意義、SDGsの概要について紹介しています。
企業価値向上のためにSDGsに取り掛かりたいけど、いまいち具体的なイメージが掴めない、という人はぜひ記事内容をご確認ください。
ECサイト運営でSDGsへの取り組みが注目される理由
ECサイト運営でSDGsへの取り組みが必要とされる理由は以下の2点です。
- ブランドイメージの向上
- 企業価値の向上
項目ごとに詳細を説明します。
ブランドイメージの向上
SDGsへの取り組みは他社との差別化の要因となり、ユーザーが購入を決定するときの判断材料にもなります。
新しいものを購入し消費し続けるのは、現代の世の中のトレンドに反しているようで、消費者はどこか後ろめたさを感じる傾向があります。
SDGsに取り組み、社会課題の解決に貢献しているECサイトがあれば、ユーザーがそのサイトを利用する決め手となるでしょう。
差別化だけでなく、SDGsへの取り組みが評価されると企業のイメージそのものにも良い影響を与えます。
上場を目指す場合は投資家へのアピールにも
SDGsとは別に、投資家が企業に求める指標としてESG活動があります。環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の3つ観点において、企業がどのように取り組んでいるかを示すもので、持続可能な社会の実現に向けて、重視されている項目です。
SDGsは国や自治体が目標として取り組むものですが、企業が取り組むESG活動はSDGsの範疇にあるといって良いでしょう。
したがって、将来、資金調達を目的に上場したい場合、SDGsへの取り組みは欠かせないものとなるのです。
SDGsの概要と世界・国内での取り組み
SDGsとは、2015年9月の国連サミットで採択された目標です。国連加盟国193カ国が2016年から2030年までの15年間で達成するために掲げられました。
17の目標と、目標を達成するための169のターゲットで構成されています。
17の目標と169のターゲット
SDGsは2030年のゴールに向けて17の目標と169のターゲットを設定しています。
17の目標
SDGs17の目標は以下のとおりです。
- 貧困をなくそう
- 飢餓をゼロ
- すべての人に健康と福祉を
- 質の高い教育をみんなに
- ジェンダー平等を実現しよう
- 安全な水とトイレを世界中に
- エネルギーをみんなにそしてクリーンに
- 働きがいも経済成長も
- 産業と技術革新の基盤をつくろう
- 人や国の不平等をなくそう
- 住み続けられるまちづくりを
- つくる責任 つかう責任
- 気候変動に具体的な対策を
- 海の豊かさを守ろう
- 陸の豊かさも守ろう
- 平和と公正をすべての人に
- パートナーシップで目標を達成しよう
17の目標は相互に関連しており、包括的な解決こそが本来の解決への道だとされています。
169のターゲット
17の目標には、それぞれいくつかのターゲットが設定されています。一つずつターゲットをクリアすることで、目標の実現を引き寄せます。
SDGsに取り組む時は、ターゲットを正しく把握しておきましょう。
全ての目標のクリアを目指すのは現実的ではありません。事業に関連する目標をピックアップし、ゴールを目指すようにしましょう。
世界と国内のSDGsへの取り組み
国内外ともに大手企業によるSDGsへの取り組みが目立ちます。
消費者にもわかりやすく良いアピールとなる取組事例を3つピックアップしました。
- 日清食品 フタ止めシールを廃止
- 資生堂 持続可能なパッケージ開発
- ネスレ・日清紡 アップサイクル衣服の制作
環境へ配慮した試みとして、できるだけプラスチック素材を使わない、紙パーッケージなどの廃棄物の再生など、ユーザー目線でも分かりやすい内容です。
海外企業のユニークな取り組みを3つピックアップしました。
- patagonia 廃棄プラスチック製の漁網で衣類をつくる
- BOODY 竹を材料としたサステナブルファッション
- AeroFarms 水と農薬を95%カットできる垂直農業
大量消費、大量生産から脱却するべく、できるだけ廃棄品を出さないリサイクルの概念や環境へ負担をかけないソリューションの開発が目立ちます。
今後企業は、投資家からESG活動の報告も要求されるようになるため、SDGsの活動にも余念がありません。
2030年のゴールにむけてSDGsの取り組みは具体性を増して、より盛んになるでしょう。
ECサイト事業者がSDGsで貢献できる事は?
ECサイト事業者としてSDGsに貢献できる取り組みを3点ピックアップしました。
- 環境に優しい紙パッケージの活用
- SNSを活用したSDGs活動の啓蒙と仲間作り
- 認証ラベルを付けた商品を扱う
各項目ごとに内容を説明します。
環境に優しい紙パッケージの活用
世界中でプラスチックごみによる環境汚染が問題となり、国内でもコンビニエンスストアを始めとする小売店や、スターバックスなどの飲食店でプラスチックを使ったスプーンやストローの提供が見直されています。
EC事業で包装紙として使用されるプラスチックの量も、見逃せません。
できるだけプラスチックを含む包装紙を使わずに、環境に優しい紙パッケージを使うことで、SDGsへの取り組みをアピールできるでしょう。
SNSを活用したSDGs活動の啓蒙と仲間作り
SNSを活用してSDGsへの取り組みを発信することも重要です。SDGsへの取り組みを広く知らしめることは、SDGs目標17の「パートナーシップで目標を達成しよう」に該当します。
SDGsへの取り組みに共感を示してくれるユーザーや取引先企業を募ることで、SDGsの輪はさらに拡大していきます。
認証ラベルを付けた商品を扱う
持続可能な社会の実現を考えられた商品には、認証ラベルが貼られています。
販売する商品に合わせて、認証ラベルがついた商品を取り扱うことでSDGsの達成に貢献可能です。
主な認証ラベルは以下のとおりです。
- FSC認証 FSCの基準をクリアした木材で作られた製品につけられる
- レインフォレスト・アライアンス認証 レインフォレスト・アライアンスが定めた基準をクリアした農園で作られた作物につけられる
- MSC認証 水産資源や海洋環境を守りつつ水揚げされた水産物につけられる
公的な認証ラベルをつけた商品のみを扱うことで、違法な乱獲をおこなう業者を排除できます。
EC事業者によるSDGsへの取り組み実例
国内EC事業者以下3社のSDGsに関する取り組みを紹介します。
- 楽天
- Amazon
- KURADASI
楽天
https://products.sint.co.jp/siws/blog/sdgs-ec
楽天ではSDGsへの取り組みの一環として、サステナブル商品を販売するEARTH MALL with Rakutenを展開しています。
サステナブル商品は、8つの認証(MSC認証、ASC認証、FSC認証、RSPO認証、国際フェアトレード認証、有機JAS認証、レインフォレスト・アライアンス認証、GOTS認証)に基づいてピックアップ。
認証商品のみならずさまざまな切り口でサステナビリティを見直し、ユーザーや出店者とともに新しいECサイトのあり方を考える場所も提供しています。
amazon
https://amazon-press.jp/Top-Navi/Sustainability/Sustainability.html
世界に先駆けて環境問題に取り組んできたAmazonでは、
- 2025年までに自社事業を100%再生可能エネルギーで運営
- 2040年までに温室効果ガスの肺質量実質ゼロ
などの具体的目標を掲げています。
具体的な取り組みとして、電気車による配送、商品の梱包の簡素化、社内にサスティナビリティの文化を根付かせるための、サステナビリティ・アンバサダーの実施など、地道な活動を継続しています。
Amazonは生活に身近な宅配を通じて、世の中のSDGsトレンドを醸成する役割の一翼を担っているのは間違いないでしょう。
KURADASHI(クラダシ)
https://kuradashi.jp/pages/report
KURADASHI(クラダシ)は、賞味期限間近、季節限定商品、パッケージの変更や少しの傷など、フードロスになりかねない商品を割安に販売するECサイトです。
フードロスになりそうな商品を抱える人が、KURADASHIに割安で出品します。
ECサイトのコンセプトそのものがSDGsの目標12「つくる責任つかう責任」にマッチ。
まとめ売が多い印象ですが、定価から大幅割引しておりお得に買物ができます。
まとめ ユーザーの生活に近いECサイトからの発信が社会を変える
ユーザーの生活に近いEC事業は、世の中のトレンドに大きな影響力を持っています。
ユーザーの手元に届けられる配送物のパッケージの簡素化は、もっとも良い例でしょう。年々簡素化されていくパッケージを手にする度に、ユーザーの環境問題への意識は高まるのではないでしょうか。
ブランディングや他社との差別化のために、いまやECサイトのSDGsの取り組みは欠かせないものとなっています。