【ECの「アフターフォロー」を考える】当たり前のことを当たり前に持続させる努力
2022年10月24日『ECサイトにおけるアフターフォロー』はなかなか時間的にも資金的にも余裕が無くて、どうしても最後に回されてしまいがちな課題なのではないでしょうか。
『ECサイトのアフターフォロー』を考える前にまずは一般的な『対面営業でのアフターフォロー』を考えてみたいと思います。
私たちアイベックの所在する滋賀県(昔の近江国)から出た多くの商人たちは全国で近江商人として店を興し、それは現在にまで続いています。
西武鉄道、セゾングループ、高島屋、伊藤忠商事、双日、トーメン、兼松、ヤンマー、日清紡、東洋紡、武田薬品工業、日本生命、ニチレイ、ワコール、西川など、挙げていけばきりがないほどの近江商人たちが日本の多くの企業の礎を創ってきました。
その近江商人たちの商売の基本でもある、『三方よければすべてよし』は現代のビジネスマンの間でも有名で、今なお通用する経営哲学とも呼べる言葉です。
この三方とは「売り手」「買い手」「世間」です。
当事者の自分たちである売り手だけがよくあるのではなく、買い手のことを第一に考え、さらにはこの商いを通じて地域社会への貢献までを考えたのが、この『三方よければすべてよし』なのです。
現代のCSRやSDGsにも通じる商売だけに限定されない現代社会を生き抜いていく、一企業の歩むべき方向を指し示した言葉です。
そして、この『三方よければすべてよし』がアフターフォローの基本的な考え方なのです。
さらにこの近江商人の考え方の中に『近江商人の商売十訓』があります。
その一訓に、
『売る前のお世辞より売った後の奉仕、これこそ永遠の客をつくる』
という教えがあるのです。
これこそECサイトにも通じるアフターフォローの考え方そのものです。
多くの資金、経費をやみ雲に使い行うばかりがアフターフォローではありません。
当たり前のことを当たり前に持続させる努力こそ、アフターフォローに必携なことなのです。
絶好のタイミングに無駄なく使うべき相手に相応の費用をかけて、アフターフォローの目的である顧客からの信頼をつかみ取り、リピーターとなってもらい顧客の皆さま方から特別な存在としてのECサイトとして商売を続けることを目指したいものですね。
『ECサイトにおけるアフターフォロー』(BtoCのアフターフォロー)
アフターフォローの目的は
- 顧客満足度の向上
- 購買継続率の向上
- お客様からの信頼度の向上
です。
そして、商品を販売した後に点検サービスを定期もしくは臨時で行うサービスがアフターフォローでありこれをシステム化したものをアフターサービスと呼んでいます。
お会いすることの無い個人のお客様に向けて商品を販売させていただくECサイト、対面である一般的な小売業とは異なるECサイトにおいて、その特殊な環境下でのお客様の心理を考えると一番に上がってくるのは『不安』でしょう。
- 想像した通りの商品が届くのか
- 色は写真通りか
- サイズはちょうどよいか
こんな不安が生まれてくるのは当然のことでしょう。
そのお客様の不安の除去に務め、不安を安心に変えるのがアフターフォローとなります。
そして、このECサイト内で出来ることはメールやホームページなどによる情報伝達が中心になってくるでしょう。
そして効果的に購入者様に安心を感じていただくために最適なタイミングでその情報はお届けしなければなりません。
- 購入(契約)直後の御礼のメール
- 商品到着時の御礼の手紙・メッセージやサンクスメール
- 購入後の定期的なメルマガ配信
全ては対面営業とは異なる『信用』のみで取引をいただいている特殊性を深く考慮して、その信用を『本当の信用』にステップアップさせるための各メール、メッセージそしてメルマガです。
その効果を最大限に発揮するようにタイミングは間違えてはなりません。
商品到着時の手紙・メッセージは外注するのではなく、自作のものをおすすめします。
手書きが難しければ印刷したものでも構いません。
本来手紙・メッセージはありがたいと思う気持ちを込めて書くものなので、同梱するひと手間をかけることで思いが伝わりやすくなり、ファンを作るきっかけにもなります。
そして、万が一の際の保証や無償修理、交換もECサイトにおける大きなアフターフォローとなります。
メーカーにあるそれらのアフターサービスを分かり易く、詳細にお伝えすることです。
まさに『近江商人の商売十訓』にある、売った後の奉仕です。
当たり前のことを当たり前に持続させる努力をしていきましょう。
メルマガやホームページで丁寧にアフターサービスの詳細を分かり易い文章で明記することはお客様の真の安心につながり、リピートしていただく動機にもなっていきます。
真の『ECサイトにおけるアフターフォロー』を目指して
個人事業主としてECサイトの運営をされている皆さま、企業内で他の業務も掛け持ちでECサイトのご担当として活躍されている皆さま、時間の無いなか、限られた予算のなかでこの『ECサイトにおけるアフターフォロー』を進めているのではないでしょうか。
それはまるで、対人営業を行う大手販売店やメーカーによくあるお客様相談室、その相談室長を兼務しながら一人で二役や複数役をこなし、ECサイト運営におけるすべての業務やご自身の担当業務をこなしているのと変わりありません。
そこには当然無理も出ます。
業務の取捨選択、効率的に行える方法を考えましょう。
まず、アフターフォローする相手は多すぎますので、初めからの個別対応は難しいかもしれません。
ステップメールを用意し、タイミングよくそれを流し、アフターフォローに繋がっていくような手を打ちましょう。
ステップメールとは、特定の行動をとった顧客に対し、事前に作成したスケジュールに沿って自動でメール配信を行うことをいい、求めている情報を求めるタイミングで配信する目的があります。
そして、新鮮な情報を満載させたホームページやメルマガを用意しましょう。
お客様が読んで役に立つ、興味を持っていただける情報を紹介できるようにしましょう。
- 新製品の紹介・説明
- 関係する税制の説明
- 各種お役に立つ豆知識
日々、世の中の動きに敏感になってください。
タイムリーな話題が効果的です。
そして時々、読んでいただけるお客様の気分転換にもなるような日々の雑感や、季節情報などを織り込んだコラムなどを置くことによってお客様の興味を引いていただける材料となるでしょう。
新しい形のECサイトにおけるアフターフォロー
『お客様の求めることを考える』がアフターフォローとなるならば、今後ECサイトにも、環境問題に対した取り組みも必要になってこようと思われます。
しかしながら、メーカーではないECサイト事業者である皆様に出来ることはかなり限られてきます。
- 取り扱い商品の選定基準に環境問題に取り組んであるECサイトであることを明記する。
- 環境に優しい輸送業者を選定していることを明記する。
前向きに取り組んでいることを伝えることが現在の段階では大切だと思います。
ECサイトだけが環境問題に対して無縁で過ごすことの出来る時代ではなくなっているのではないでしょうか。
世の中の動きと消費者の要望で成長してきたECサイトです。
今後ますますその成長は予想され、私たちはその成長に追いついていかなければなりません。
ECサイトにおけるアフターフォロー、言葉だけを追えば後追いの業務のように思えますが、決してそんなことは無いということをご理解いただけたのではないでしょうか。
このアフターフォローもあらゆる処世と同じく先手必勝なのです。
最後に近江商人の商売十訓のうちの一つを挙げておきます。
『良きものを売るは善なり、良き品を広告して多く売ることはさらに善なり』
良い物をECサイトで上手に広告してお客様にそれをお求め頂くことはお客様自身のためであり、そこでECサイトを運営される皆様が利益を上げることは最終的にはお客様の得にも繋がっていく、そのように読み替えることの出来る奥の深い文章です。
お客様に良い商品を手にしていただき『得』に繋がったと感じていただける、これこそ顧客満足度向上のスタートと言えると思います。
そして、さらにその顧客満足度を向上させるために行うさまざまな手段のアフターフォローの大切さを皆様に深く認識していただければ幸いです。
参照URL:
近江商人と三方よし(伊藤忠商事)
自らの利益のみを追求することをよしとせず、社会の幸せを願う「三方よし」の精神は、現代のCSRにつながる
近江商人の三方よしと商売十訓には究極の経営理念とマーケティングの真髄
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